近年、暮らし方が大きく変化しています。特に家での食事の時間を大切にする方が増えているように感じます。人の個性が尊重される時代、家族それぞれに異なる暮らしがあるように、自分に合った自分らしい食事の場があるはずです。
今回の家具コラムでは、家具(モノ)としてのダイニングテーブルではなく、人が集い楽しく食事をする場としての〈食卓〉を考えていきたいと思います。



日本人に合った低座ダイニング(食卓)を考える
日本人に合った低座ダイニング(食卓)を考える
欧米と日本人の体形・生活習慣の違いとダイニングテーブルの高さの関係性
ダイニングテーブルの高さは、体形や生活習慣によって適切なサイズが異なります。日本と欧米では、食事スタイルや家具の設計基準に違いがあり、それがダイニングテーブルの高さにも影響を与えています。
日本で販売されている既製品の椅子やテーブルの大半は、家の中で靴をはいて暮らす生活を基準に作られています。
日本人の体格が西洋人に近づいたとはいえ、体格も生活スタイルも異なる日本人にとって、そのまま家庭で使うには高すぎるのは当然です。
また、平たい皿から直接スプーンやフォークでとって食べるのでなく、深めの器を手に持って食べるうえ、食卓に置いた鍋をつつく鍋料理も楽しむという日本人の食習慣からすれば、食事のテーブルと椅子は今よりずっと低くしてもよいのかもしれません。

日本人、そして日本の暮らしに合った《低座という考え方》は、日本の食卓を考えるうえで一つの選択肢になるかもしれません。
特に椅子は身体を預けるものなので椅子のデザインだけでなく、大きさや座面の高さが姿勢やくつろぎ感に大きく影響します。
低座ダイニングは、一般的なダイニングと座卓の中間
テーブルの高さが61~63㎝、椅子もテーブルに合わせて座面の高さが37~38㎝、そして大きな座面が特徴です。
小柄な女性でも無理なく足が床につき、しっかり座ることができます。


今回の家具コラムでは、多様化する生活スタイルやインテリアに合わせて選ぶことができる〈低めのテーブルと椅子〉3つのスタイルをご紹介します。
自分に合った〈低座・くつろぎの食卓〉を考える機会にして頂きたいと思います。
※〈低座スタイルの食卓〉をおすすめする理由はコラムの最後に書いています。是非参考にご覧ください。
早速タナカジマがおすすめする〈低座スタイルの食卓〉をご紹介します。
タナカジマがおすすめする〈くつろぎの食卓〉3つのカタチ
タナカジマがおすすめする〈くつろぎの食卓〉3つのカタチ
多様化する生活スタイルやインテリアに合わせて自分らしいデザインを3つのカタチでご紹介します。
◇低座ダイニングの草分け・《モノ・モノ》の低座椅子とテーブル
低座ダイニングは、一般的なダイニングと座卓の中間、テーブルの高さが61~63㎝、椅子もテーブルに合わせて座面の高さが37~38㎝、そして大きな座面が特徴です。小柄な女性でも無理なく足が床につき、しっかり座ることができます。







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◇ソファーのような座り心地《HIRASHIMA》のLDダイニング
ソファのようにゆったりと座れるアーム付きリビングダイニング用チェア。座面高が低く、ふっくらと、包み込まれるような掛け心地です。食事とくつろぎの時間を心地よく共有できる、リビングであり、ダイニングでもあるLD空間が完成します。 シートカバーは、カバーリング仕様で、カバーを取り外すことができます。



HIRASHIMAの家具の商品情報はこちらをご覧ください
◇LOw&Wide 日本的くつろぎの形《TAKUMI KOHGEI》のSPREAD
モダンな空間に似合う スプレッドチェア
プロダクトデザイナー松岡智之デザインのチェア。
幅の広い座面と大きく広がる背面がゆったりと体を包み込み、落ち着きと安心感が得られる椅子です。
背面は横までカーブして覆っているので体を少し横に振った姿勢でもしっかりと体を支えてくれます。
座りながら姿勢を変えることができるため、長時間座っていても疲れにくい椅子になっています。



TAKUMIKOHGEIの家具の商品情報はこちらをご覧ください
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タナカジマが低座ダイニングをお勧めする理由
欧米と日本人の体形の違いと生活習慣の違い
欧米と日本人の体形の違いと生活習慣の違い
- 身長の違い:一般的に欧米人は日本人よりも身長が高く、平均身長に合わせて家具のサイズも大きめに設計されています。
- 靴を履く文化:欧米では室内でも靴を履くことが多く、その分座面の高さが高くなり、テーブルの高さもそれに合わせて調整されています。
- 座り方の違い:欧米では椅子に深く腰掛けるスタイルが一般的ですが、日本では床に座る文化が根付いており、椅子の座面が低めの方が自然な姿勢を保ちやすいと考えられます。
食事スタイルの違い
食事スタイルの違い
平たい皿から直接スプーンやフォークでとって食べるのでなく、深めの器を手に持って食べるうえ、食卓に置いた鍋をつつく鍋料理も楽しむという日本人の食習慣からすれば、テーブルの高さは今よりずっと低いほうが良い、そしてテーブルは椅子よりさらに低くしたほうが良いといえます。


住環境の違い
住環境の違い
日本の住宅事情を考えるとき、リビングとダイニングを区別せず、少ない家具で一つの空間をのびのび使いたい。
そんな人たちから支持されているのが、ソファーと低めのテーブルを組み合わせたリビングダイニング家具。
しかし、【座る】ということに着目すると、腰をしっかり支え、一人一人の身体寸法と座り方に合った低めの椅子をお勧めしたいと思います。



いろいろな座り方ができる、低座の椅子と低めのテーブルを組み合わせた【低座ダイニング】は、日本人の多様な暮らし方に合ったリビングダイニング家具といえます。
一つの空間を様々な用途に変化させながら多様に使いこなす暮らし方をしてきた日本人にとって、【低座ダイニング】は食事はもちろんのこと、くつろぎやデスクワークでも活躍します。

テーブルと椅子、高さの違い
テーブルと椅子、高さの違い
欧米のダイニングテーブル:一般的に高さ720~750mmのものが多く、椅子の座面高も430~450mmと高めに設計されています。
日本のダイニングテーブル:日本国内で流通しているものの多くは高さ700~720mmが標準で、椅子の座面高も410~420mmとなっています。この高さの基準は、身長170センチ前後の男性を基準にしているといわれています。
小柄な男性や多くの女性が、長時間椅子に座っていると疲れる、落ち着かないと感じるのは無理がないことなのかもしれません。
近頃は高さが低めのテーブルも多くなっています。体形や生活習慣の違い、食事スタイルの違いを考えると、欧米のダイニングをそのまま日本で使うことはもちろん、日本の標準の高さといわれているテーブルや椅子を使うことに少し無理があるように感じます。



秋岡芳夫が提唱する低座の暮らし
工業デザイナー秋岡芳夫が唱えた《一机多用(いっきたよう》、少ない持ち物で豊かに暮らすという考え方は、モノにあふれた現代にこそ必要な考え方と言えます。
日本人にとって【座る】とは、《椅子に座る》《正座する》《あぐらをかく》といろいろな座る形があります。
さらに日本人は昔から、一つの空間を様々な用途に変化させながら多様に使いこなす暮らし方をしてきました。
靴を脱ぎ、食器を手に持って食事する日本人にとって一般的なダイニングは日本人に合っているとは言えません。
秋岡芳夫の【日本人の身体尺度に合わせた暮らし】を再考してみましょう。
秋岡芳夫の言葉
今のLDKの家具の数、多すぎます。一つでもいいから減らして広々と住みましょう。まず、テーブル。ダイニング用とリビング用とを分けないで一つで兼用しましょう。
高さが61㎝~63㎝の大き目なテーブルなら《一机多用》。食事・団らん・来客・くつろぎの一杯・書きもの、すべてが一つで間に合います。
そのテーブルに高さを合わせて、座面高38㎝前後で、肘がなくて座のクッションが硬めの椅子を選べば、この椅子も「一椅多用」。リビングにもダイニングにも兼用できます。この「一机多用なテーブル」と「一椅多用な椅子」を組み合わせて使うことで、部屋がぐんと広くなります。
一椅多用に使う椅子の座は思いきり広いのがいい。「座布団くらいないとゆっくり腰掛けてられないよ」と、十数年大きな椅子で暮らしてきた経験から、ぼくは椅子を買う相談に来た人に教えています。「バーのカウンターの腰掛けみたいじゃあなくて、ご飯も大きな椅子で食べたほうがおいしいんだ」と。
秋岡芳夫(あきおかよしお) 文:「暮らしのためのデザイン」新潮社より抜粋
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